ヴァルデモーサを脱出して、マヨルカ島からやっとの思いでバルセロナまで戻って来たショパン一行は、バルセロナの目抜通りランブラス通りにあるホテル、クアトロナシオネスにしばらく留まりショパンの回復を待ったそうだ。

そのホテルが今でも残っていて、受付に尋ねてみると快く案内してくれた。当時からある重厚な階段を登ると、ショパンが泊まった事を記念して当時からある共用スペースにショパンの名前が冠されていた。


ショパンが泊まった部屋は記録に残ってなく正確にどの部屋かはわからないそうだが、当時から使われていた共用スペースは、きっとショパンも入ったであろう部屋。その部屋のショパンが見たであろう天井、ショパンも出たであろうバルコニー、ショパンも触ってだあろう手摺り、そこから眺めたであろう街並み、と思うとなかなか離れる事ができなかった。ここにショパンが居たんだなぁ。
今回、ショパンの足跡をたどってマヨルカ島からバルセロナを歩いてみて、マヨルカでの滞在が想像以上にショパンの健康に影響を及ぼしたのではないかと、肌で感じて来ることができた。異国の地での辛い経験は、この後10年で亡くなるまでショパンの傑作の数々に反映されていると強く感じた。