寒い!地中海の青い海の島なのに、東京より寒い。そして毎日雨。冬のこんな寒い島に、結核の疑いのあるショパンが避寒に来ただなんて…。寒い上に(冬は雨季なので)梅雨のように雨が降ったり止んだり、たまに晴れ間が見えても、向こうにはまた雨雲が。まだ温かい日本の梅雨だって憂鬱なのに、こんな寒い島の冷たい雨の修道院でひと冬過ごすなんて、私には無理だ。
街へ食糧の買い物へ出たサンドが雷雨で夜まで帰れず、やっとの思いで夜中に修道院へ帰ったら、ショパンが弾いていたと言われる「雨だれ」。恐らく有名な15番変ニ長調だろうけど、雨のような涙のようなこの6番ロ短調が、この修道院ではずっと私の頭の中で流れていた。

ショパンが過ごしたマヨルカ島のヴァルデモーサにあるカルトゥハ修道院のショパン像。どんな思いでショパンはここで過ごしたんだろう。一日曇天だったのに、突然現れた晴れ間に。

ショパンとサンドの過ごした修道院。博物館として、彼らが過ごした部屋が公開されている。

ショパンとサンドが過ごした部屋の入口。窓にはガラスも入っていない、石造りの冷たい回廊の中ほどにある。

ショパンがフランスから取り寄せたプレイエルのアップライトピアノ。彼らがマヨルカを発つ時、結核患者の触れたものはすべて焼却処分される法律があったけれども、ピアノの品質の違いに気づいた地元の富豪が引き取って保管してくれていたおかげで、現存している。滞在中、このピアノで名曲の数々を作曲。

窓ガラスもない、格子だけの窓。冬の冷たい風が吹き込んできて、とても寒い。どうやって寒さを凌いだんだろう。
ショパンとサンドの部屋の全景。石造りのとても重厚な部屋だけれども、底冷えする。庭にはオレンジの木、部屋には暖炉があるとはいえ、ここでの避寒生活は相当寒かったと思う。
庭。ヴァルデモーサの村と遠くに地中海が見える。この時は雨も降ってきて、気温7度。結核患者の療養地、避寒地として最適とはとても言えない。